大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)921 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人代理人高見之忠の上告理由について。

記録に拠ると被上告人は従来、係争の手形三通にはいずれも振出人として有限会

社D商事社代表社員Aと表示されているが、右Aは有限会社D商事社という商号を

用いて繊維品の売買取引を営む商人であつて、右手形もその振出人は実質上A個人

であり、従つて上告人個人に手形上の責任がある、と主張し、上告人は之を否認し

て、有限会社D商事社は結局成立には至らなかつたものであるが、昭和二六年頃発

起人がその定款を作成し設立の準備をしたものであつて、係争の手形はAが右設立

中の同会社発起人組合のため之を代表して作成振出したものであるから、A個人に

は少くとも全部的な手形上の責任はない、と主張していることが看取される。され

ば、原審が、係争の約束手形三通に振出人として被上告人主張通りの表示記載の存

することを認定した上、上告人は右会社が不存在の会社であることを自認している

のであるから結局上告人に於てその代表権限を証明することができない場合に該当

し、上告人個人はその振出人としての手形上責任を免れないものと解する旨を判示

し、更に、右手形に振出人として上告人主張の如き組合の表示記載の存しないこと

を明らかにした上、仮に上告人主張通り、右手形三通を実質上上告人が右組合のた

めにその代表者として振出したものとしても、上告人に右組合を代表する権限が存

したとの点につき之を確認するに足る証拠がないから、上告人は無権代理人として

の手形上の責任を免かれ難い旨を判示して、上告人の右点に関する主張を排斥した

のは相当であつて、原審に所論違法なく、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

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おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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